採卵のための麻酔で幻覚体験した話。

不妊治療

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幻覚、見たことありますか?

私はあるんですよ・・・。それも、5回も!

 

不妊治療で体外受精になると、採卵をしなくてはいけないのですが、その時に静脈麻酔をするんですね。

ケタミンという種類の麻酔を使っていた時に、不思議な世界にトリップしてました

 

今回は麻酔で体験した幻覚の話と、せっかく調べたので簡単に麻酔の話もします。

 

この記事に書かれていることは執筆者の個人的体験に基づいたものです。

私は専門家ではなくただの患者です。

書くからには調べてはいますが、間違いがあるかもしれません。

また、病院によって方向性の違いや、説明が違うということがあると思います。

軽い読み物程度の気持ちで読んでください

 

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ケタミンによる幻覚

導入

看護師さん
看護師さん

入りましたよー

と麻酔薬が入れられると徐々に頭が重くなっていきます。

いや、重くというよりは硬くなっていく感覚です。

徐々に脳が固まっていくような不思議な感覚から始まります

 

バイタルモニターや壁がぼんやり・ぐにゃぐにゃと曲がってきて、それが面白くてきょろきょろ周りを見渡しているのですが、だんだん自由が利かなくなっていきます。

首が動かせなくなり、視点が勝手に中央に固定され、真上にある器具を強制的に見させられることになります。

 

看護師さんが「寝てくださーい」「目を閉じてくださーい」と言ってるのが聞こえますが、自力で閉眼できなくなります

そうなってくると次は、突然体が浮くような、沈むような・・・とにかく突然引っ張られてどこかにすごい勢いで連れていかれます。

 

サイケデリックな世界

連れていかれるのはこの動画のような空間です。

気分が悪くなるかもしれません、気を付けてください。  

サイケデリックな光が自分の周りでぐるんぐるん、ぐにゃぐにゃと動き回ります。

周りが動いてるのかもしれないし、私が進んでいるのかもしれない、両方かもしれない。

不思議と怖くはありませんし、落ち着いています。

 

音楽が見える

サイケデリックな空間が落ち着いてきて、色が少しだけ優しくなってきます。

手術室で流れている音楽(と思われる音)に合わせて、右から左へ音の波が見えます

やさしい音楽がかかっていたから、比較的優しい色合いで優しい動きだったのかもしれません。

一度スリップノットなんか聞きながら見てみたかったです。ものすごそうです。

 

自分の体がなくなっていく

はじめのほうは、自分が自分だという認識がありますし、体の形も覚えています。

だんだんとその認識がなくなっていきます。

 

細胞よりももっと小さな何かになったような、体の枠から自分の精神がはみ出して大きく広がるような、小さくて大きな何かになります。

細胞より小さくなっていても、周りにあるものは全部自分だとわかります。

 

水滴ひとつひとつが集まって海になるような感じです。

小さくても大きくても周りは全部自分です。

 

どんどん変化しながらも、前へ前へ進んでいきます。

 

何かを悟る

そうして最終的に高原に出ます

雲も木も一つもない、水色と緑だけの世界です。

そこに来るとだいたい動きは止まっています。

 

そして

うに
うに

あー、そうか。世界って、こういうことなんだ。

何かを悟ります

今この世のすべてを理解した、とわかります。

 

心理の扉を開けてしまっていたのかもしれません。5回も開けてしまいました。

何を持っていかれたんだ、卵子か?

 

終わり

だいたい心理の扉を開いたら終わる合図です。

手術台からストレッチャーに移動させられた衝撃で徐々に帰ってきます。

 

まず自分が人間だったことを思い出します

手を動かそうとすると動くのですが、5本指ではなくドラえもんのような手だという認識になります。

視界はぼんやりして、周りの人の顔はよく見えません。

 

固まっていた脳が徐々に戻っていくのがわかります

そして採卵をしていたことを思い出します。

 

話しかけられると、返事はできるのですが、自分が正しい日本語を話せているのかわかりません

悟り帰りなので、覚えているうちに伝えなくちゃ!と思って看護師さんに一生懸命説明してた気がします。恥ずかしい。

 

ベッドに戻って点滴をしてもらいます。

だんだん冷静になっていき、

うに
うに

あ~今日もはじけてもうたな・・・

自責の念に駆られます

 

そのあとは吐き気との戦いです。

終了後3~4時間気分が悪くなり嘔吐もしょっちゅうでした。

 

我慢できなくなる

一度、採卵の最中で麻酔が切れかけたことがありました

扉の先で悟っている最中に突然痛みが襲ってくるもんですから、それはもうびっくりです。

普段より早く現実に戻されました。

 

抑制がほぼ効いてない頭なので、我慢できず、

うに
うに

痛いよー、痛いよー、もういややー

大号泣しました

 

終わってから看護師さんに

看護師さん
看護師さん

よぉがんばったねー!

よしよしして褒めてもらいました

 

薬のせいとはいえ、30超えた大人が・・・あとから恥ずかしかったです。

 

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採卵と静脈麻酔

採卵とは?

成熟した卵子を卵巣から取り出すことを「採卵」といいます。

採卵針を腟から挿入し卵巣に刺し、卵巣の中のひとつひとつの卵胞に対し卵胞液ごと吸引していくことで、卵胞の中の卵子を取り出します。

不妊college:体外受精

針を刺すので、痛みを伴います。

なので、局所麻酔や静脈麻酔を使って、痛くないように採卵してくれます。

 

私は局所麻酔も麻酔なしも体験したことないのですが、体験談を読んでいるとやっぱり痛そうです。

 

採卵に使う麻酔

ネットで調べてみると、ほとんどのクリニックが『プロポフォール』という麻酔薬を使用しているみたいです。

私の通ってるクリニックでも基本はこのプロポフォールを使用します。

幻覚を見ていたときに使用したのは『ケタミン』です。

 

麻酔とは?

麻酔薬とは脳の働きをまるごと抑制するものです。

それにより、眠りにつき、痛みを感じなくなります。

まるごと抑制するので、呼吸が止まったり、血圧が下がったりする可能性があります。

なので使用するときは、血圧や酸素飽和度を測ったり、体を反らして気道確保し たり、酸素カニューレ(酸素が出てくる管)を鼻に付けたりします。

 

ケタミンとは

どういうものか

商品名は、ケタラール。

プロポフォールと同様に麻酔薬ですが、乱用する人が多く麻薬に指定されています

なぜ乱用する人が多いのかというと、私の体験談のように、『トベる』からです。

 

さきほど説明したように、麻酔は脳をまるごと抑制するのですが、ケタミンは少し違います。

大脳皮質だけ抑制して、大脳辺縁系を刺激するんです。

 

大脳皮質には外からの情報を受け、考え・判断して、行動するという高度な役割があります。

大脳辺縁系は、情動と本能行動の中枢と言われています。快・不快などの判断を行い、身体的な反応や行動を引き起こします。大脳皮質に比べ、原始的です。

 

つまり 大脳皮質だけ抑制して大脳辺縁系を刺激するということは、人間らしいところは抑制されて、原始的な部分だけ刺激されてしまうということです。

そのため、いわゆるトリップ状態になってしまうそうです。

呼吸や血圧などへの影響が少ないので、麻酔薬としては安全みたい。

だからこそ、乱用する人が出てきてしまったのでしょうけど・・・。

 

話は少し逸れますが、この記事を書くにあたって『ケタミン』とググったのですが、候補に『入手』『通販』が出てきてびっくりしました。

それで試しに『ケタミン 通販』で調べたら、一番上が『楽天市場』なんだから笑っちゃいました。

そして『他の人はこれでも検索:ケタミン 個人輸入』・・・って勧めちゃだめだよぐーぐるさん!!

 

幻覚

調査では、全協力者のほぼ4分の3が、自分の体から離れる感覚を体験したことがあると報告した。

約42%は、体外の視点から自分の体を眺める経験をしていた

60%は、素早く動いたり、落下したり、飛んだり、回転したりする感覚を報告し、別の41%は、実際には動いていないのに脚が動く感覚や部屋を歩き回ったりする幻覚を報告した。

WIRED:「体外離脱感覚」を誘発する薬物:ケタミン


 

私も静脈麻酔で手術したときにまるで万華鏡の中の様な、モード学園のCMの中に入った様な、あと製造ラインに乗せられてる様な凄く変な感覚になって、あぁこれが現実で今まで夢を見てたのか!という 気持ち悪い気分になりました。すごいサイケデリックな世界で大音量で音楽も流れてました。

Yahoo!知恵袋:全身麻酔の恐怖な体験。

 

みなさん似たような体験をするようです。

 

なぜケタミンを使っていたか

私の通っているクリニックでは基本プロポフォールを使用しているのですが、私は5回目の採卵までケタミンでした。

母の従兄弟が静脈麻酔を使用し悪性高熱症になったらしく、悪性高熱症は遺伝性疾患のため母がものすごく心配したからです

 

クリニックのドクターが「うちでなった方はいませんよ」とか、忘れましたけどあと何か大丈夫な理由を説明してくれて、母は納得してくれました。

 

かのようにみえました。

 

なんと母は、はじめての採卵当日に、手術ギリギリにクリニック側へやっぱり心配だと訴えたのです

そして急遽ケタミンに変更されました。

 

しかし従兄弟が悪性高熱症になったのは母の幼い頃です。

その時代の麻酔といえばケタミンで、プロポフォールはまだなかったらしいです。

変更する意味ない気がしますが・・・。

 

麻酔から覚めたあとの吐き気がかなり辛かったので、

うに
うに

どうかプロポフォールに変えてください、もし死んでも文句言いません

と半泣きで訴えましたが、

ドクター
ドクター

まぁでも・・・ケタミンで大丈夫だったんで・・・。

変えてなんかあったら怖いやん?

と医師は母の圧に負けたようでなかなか変えてくれませんでした。

 

結局私の妹がプロポフォールを使う機会があり、特に何もなかったので、それを理由に5回目でやっと変えてもらえました。

 

プロポフォール最高です

寝入り早いし寝起きすっきりだし、変な事喋らないし、吐き気少ないし。

 

 

おわりに

幻覚体験自体は、実はけっこう好きでした。

あの強烈な吐き気がなければ私も『ケタミン 通販』と検索してたかもしれないので、吐き気が強くて良かったです。

普段絶対味わえない体験ができたと思えば、採卵も悪くないかもですね。  ナンチャッテ!

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

うに🐰

 

参考文献・HP・書籍

岡田一:敏ケタミン麻酔による夢の検討

脳科学辞典:ケタミン

WIRED:「体外離脱感覚」を誘発する薬物:ケタミン

メディックメディア社発行:病気が見えるvol.7

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