こんにちは!
5年半の不妊治療体験やそこから考えたことなどを漫画やブログにしている、小森うにと言います。
Instagramのフォロワーさんからご質問をいただきました。

2人目を体外受精で授かり、初期胚を一つ凍結しています。
3人目は考えていません。
初回の移植で授かっていることもあり、凍結胚の廃棄に抵抗があります。
医師に相談したところ、「自費にはなるが、ピルで妊娠しないようにして移植することはできる」と言われました。
うにさんならどうしますか。

私は同じ悩みをリアルに持ったことはないのですが、
もし自分なら…と考えてみると、ピルを飲んで移植するかも…。
でも、その自費の額にもよるかも…。
うーん、とても難しい問題ですよね。
不妊治療を終えた後の凍結胚…。
その存在は多くのご夫婦にとって、希望でもあり、大きな決断を迫られる存在でもあります。
「このまま保管を続けるべき?」「移植に挑戦すべき?」「でも廃棄するのは忍びない…」。
34名の方々から寄せられた貴重な体験談を通じて、この難しい選択に向き合った方々の声をお届けします。
この記事はこんな方におすすめです
- 凍結胚の今後について悩んでいる方
- 治療終了後の保管継続について迷っている方
- 同じ悩みを持つ方々の体験談を知りたい方
- パートナーと凍結胚について話し合いたい方
- 治療中で将来の選択肢について考えている方
1. 最終決断の種類
破棄を選択したケース
最も多かったのは破棄を選択されたケースです。
その背景には様々な理由がありました。

他嚢胞で受精卵が残り5個。2人子供を授かっていたので破棄しました。
心でごめんね。とだけ祈りました。それ以外は何もしていません。
今目の前にある赤ちゃんに全力で向き合ってる日々です。
わが家は1年だけ更新して、その翌年にさよならをしました😭!
1回目の更新は、出産後間もないころで「捨てる」という選択をこんなに簡単にしていいのか、、、と迷い更新。
2回目の更新の時は産後1年経っていて、卵のことを考える時間があって、もう2人目はないから更新し続けるのは費用がもったいないからお別れしようってことで、破棄しましたー🥚!
- 「私は破棄しました。倫理的なこともあるけどこれ以上望まないのであれリスクの方が懸念されるので。」Aさん
- 「4つ凍結胚がありましたが3人目を考えられなかったので破棄依頼しました…」Sさん
- 「胚盤胞1つと初期胚1つを凍結していましたがどちらも破棄しました。」Aさん
- 「胚凍結、1年の更新の時にサヨナラしました🥲」Hさん
- 「夫婦で話し合い残り1つの凍結胚はさよならすることに。」Mさん
- 「私は2人目を出産した時に、凍結胚が2個残っていましたが、保管の更新を待たずに産後わりとすぐに破棄の手続きを取りました。」Kさん
- 「結果的には初期胚1つと胚盤胞3つは廃棄しました。」Kさん
- 「移植はもう辞めたいと夫に話し、破棄の決断に至りました!」Mさん
- 「相当悩んだし凍結胚3つもあったのですが、私が何かあってしまったら…と息子の事を思い決断しました!!」Aさん
- 「廃棄しました。すでに生きてる命、と悩みましたが、産む予定がないのにずるずる保管しても申し訳ない、と思いました。」Sさん
- 「2人目治療の時の卵が6個残ってて、すべてグレードも良かったので悩み続けて2年延長料支払いましたが、2人目出産時が大変だったことや年齢を考えて昨年廃棄お願いしました」Eさん
- 「1人目出産後に離婚→破棄です。」Hさん
- 「2人目で体外受精をして3人目を考えていなかったので残っていた凍結胚は涙ながらにお別れしました」Mさん
- 「凍結期限切れで結果的に破棄となりました。偽善かもですが、自分の手では「破棄」を選べなかったです」Hさん
- 「3つ程残っていましたが破棄しました😊」Hさん
- 「経済的理由と体力的理由で延長したのに次の年破棄しました!」Mさん
保管継続を選択したケース
保管継続を選択された方々からは、次のような声が寄せられています:

いまだにどうしたらいいかわからず悩んで、毎年凍結更新しています。今年もそろそろ更新の時期。

残り10個あって、今すぐは無理ですがもうひとり欲しいと思っています。
- 「今回は、凍結胚保存の延長ということでとりあえず1年の延長をしてきました。」Nさん
- 「後悔しないように凍結卵は延長料金払って保管してます!治療してるよりも安いので笑」Mさん
- 「まさに今期限延長するかどうかで数ヶ月悩んでいます…」Cさん
- 「あんなに頑張ったのにこのまま捨てちゃうのか?とモヤモヤが募ってきて、どっちにも決めきれずにいました。」Eさん
研究利用を選択したケース
研究利用という選択肢を選ばれた方もいらっしゃいました

廃棄で研究?に使ってもらうを選択したと思います。
移植決定/予定のケース
移植の決断をされた方々の体験

知り合いが破棄したことで後悔し鬱になったと聞いたので自分はお腹の中に迎えにいきました。金銭的余裕はないけど破棄を選べず三人目を産む覚悟を持って迎えに行こうと決めました。
- 「わが家は旦那の希望で残りも移植、仕事調整して移植するのがしんどい…」M私さん
- 「凍結卵1つあり今年移植予定(2人目妊活)でしたが、体調面や金銭面を考えると中々踏み切れない部分もあります。」Nさん
2. 決断の理由と考慮された要因
38歳での決断 – らはさんの体験
不妊治療を経て出産後、3年間凍結胚を保管されていたらはさんは、以下の3つの理由から保存延長を見送ることを決断されました
- 3人家族の現在の生活に充実感を感じ、「ちょうどいい」と実感できるようになった
- 住宅購入を考える中で、1人の子どもに十分な教育機会を提供したいという経済的な判断
- 子育てと仕事を両立している現状で、不妊治療に再び向き合うことへの躊躇
最終的に研究利用への提供を選択され、「これが我が家のベストな選択だと信じ、これからもひとりの息子を愛し続けよう」という決意に至られました。
より詳しい体験談は[38歳、ついに凍結胚の保存延長を見送る]でご覧いただけます。
(noteの引用、要約の許可をいただいています)
経済的な要因
多くの方が経済的な観点から決断を下されています

私のところでは1年で7万くらい保管料かかるのですが…
- 「更新し続けるのは費用がもったいない(5万だったか?)からお別れしようってことで」ういさん
- 「経済的な理由が1番大きいですが」Hさん
- 「お金もかかることだし、そのお金は生まれてくる子に使おうと決めました。」Mさん
- 「経済的理由と体力的理由で延長したのに次の年破棄しました!」Mさん
健康上の理由
健康面での懸念も重要な要因となっています

これ以上、身体に薬を飲んだり貼ったり入れたりしたくなかった…
- 「リスクの方が懸念されるので。」Aさん
- 「1人目出産時に癒着胎盤で大量出血&掻出処置でトラウマレベルの目に合い」Mさん
- 「ヘルプ症候群というものになり、それは2人目もまたほぼ必ず出る為」Aさん
年齢的な要因

私が高齢出産になることもあり、色々なリスクの心配もありました。

3人目は産むとなると私が38歳、夫が40歳の年齢になるので、育児に対する不安も多少あり
家族の事情
家族関係や環境も重要な決定要因となっています

実母の反対と旦那のどちらかと言えば反対という意見があり…
- 「夫が多忙で毎日ワンオペ状態だと2人目が想像できません。」Nさん
- 「1人目出産後に離婚→破棄です。」Hさん
育児の負担

思っていた以上に育児が大変で段々と1人でもいいかもしれないと気持ちが変わっていきました。

育児でめいいっぱいでした
3. 廃棄決断後の心境
後悔のない前向きな気持ち
寂しいとかそういう気持ちはなくて、息子とその卵2つだけの凍結卵だったんですけど、この卵がひとついてくれたおかげで心の支えにもなったし、ありがとうの気持ちでお別れしました😁!
- 「凍結胚を残しておけば、2人目の不妊治療再開のハードルが下がっていたのかなと思ったりすることはありましたが、後悔はしていません。」Mさん
- 「目の前の我が子に夢中なので、マイナスな気持ちはないです!」Hさん
- 「娘が無事に産まれてくれて幸せなので破棄には後悔はないです」Hさん
複雑な感情と未消化の思い

凍結胚は廃棄してしまいましたが一度もお腹に戻してやることもできずに会えなくなったと思うと今でも悲しい気持ちになったりします。4つとも妊娠できてたらどんな子だったのかなとかも考えたりします。

同じ採卵の時の卵だったので下の子の分身だと思うと本当に悲しかったです💦
祈りと供養の気持ち
決断後に祈りや供養の形で気持ちを表現される方も多くいらっしゃいました

凍結期限まで病院で保管し、期限の月末に旦那と家でケーキ食べながら体養として手を合わせました。
- 「せっかく凍結胚に頑張って育ってくれたのに破棄にしてしまってごめんね。お空で見守ってね。」Yさん
- 「心でごめんね。とだけ祈りました。」Mさん
まとめ
33名の体験談から見えてきたのは、凍結胚への決断に「正解」はないということです。
経済的な事情、健康上の理由、年齢的な要因、家族の状況など、それぞれの置かれた環境や価値観によって、慎重に検討され、選択されていました。
決断後の心境も、前向きな気持ちから複雑な感情まで様々です。
現在検討中の方々からは

残された凍結胚をどうするかで悩んでいるので、こちらの投稿ありがたいです。
のような声も寄せられており、この記事が、同じような決断の渦中にある方々の気持ちに寄り添い、自分らしい選択を考えるきっかけとなれば幸いです。
最後になりましたが、ご協力くださった皆様、本当にありがとうございました!!
後日談…質問者さんより

うにさんこんばんは。
先日、凍結胚の件でご相談した者です。すぐにお返事をいただき、とても救われました。またブログも拝読しました、ありがとうございます。
結論から申し上げると自費で生理直後の内膜が薄い時期に移植致しました。そして今日移植後の生理が来ました。
4月から職場復帰を控えており、次回の更新時期に移植か廃棄かを考え、行動する余裕はないと思い、決断いたしました。
治療を開始する際には凍結胚の廃棄については深く考えたことがなく、採卵の際も出来るだけ多く採卵できて胚盤胞が出来ればいいなと考えていました。
妊娠中も産後も特に深く考えず、いざ手紙が届き真剣に考え出すと廃棄への罪悪感が拭えず、押しつぶされそうになりました。
3人産みたい気持ちはありましたが、経済的に諦めざるを得ず、病院に相談に行った次第です。移植の費用は7000円ほどでした。
手術台にあがると申し訳なさで涙が溢れましたが、移植後はスッキリとした気持ちになりました。ただの自己満足ですが、廃棄を決断出来なかったので移植出来てよかったと思っています。
私は余剰胚が1つだけだったので今回のような決断になりました。
個々の状況は違えど、今後治療をされる方も余剰胚について事前に考える機会があると良いのではないかなと思いました。
(私は深く考えすぎるタイプなので、ここまで悩むなら自然周期で採卵して凍結は無しが良かったし、予めそういった心理的負担になる可能性がある旨も先生から説明が欲しかったなと思ったほどです。)
長くなり、まとまりがない文章で申し訳ありません。まだまだ寒い日が続きますがご自愛ください。 これからの投稿も楽しみにしています!この度はありがとうございました。

決断まで、とても悩まれたと思うのですが、
移植されてすっきりとした気持ちになられたとのことで良かったです!
そして、後日談も送ってくださり、掲載許可もいただき、ありがとうございます。
今回、この記事が、私は全く意図していなかったのですが、培養士さんはじめ医療者の方に注目していただいたようです!
治療されている方の気持ちが現場に伝わり、少しでも治療に関する悩みや苦しみが軽減されていけばいいなぁと、書いて良かったなと思いました。
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DMでもお聞きしていますので、お気軽にどうぞ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
小森うに
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