【不妊治療】周りと比べて辛くなくなるまでの話|治療5年半の体験談

不妊治療

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こんにちは!

5年半の不妊治療体験を漫画やブログにしている、小森うにと言います。
不妊ピアカウンセラーを目指して、現在勉強中です。

今回は、「私が自分らしい幸せの形を信じられるようになるまで」というテーマでお話します。

 

※この記事について

これは私個人の不妊治療経験から感じたことをまとめた記事です。
経験や感じ方は人それぞれ異なりますし、この考えが誰にでも当てはまるわけではありませんし、これが正しいと思ってもいません。

また、治療中の方の心理状態はそれぞれ異なります。
この記事の内容が負担に感じられる方は、読むのを一旦置いておいていただければと思います。

 

私が自分らしい幸せの形を信じられるようになるまで

不妊治療中の日々

不妊治療をしていると、様々な感情の波に飲み込まれることがありますよね。
他の人と比べてしまったり、周りの何気ない言葉に傷ついたり。
私自身、そういった経験を何度もしてきました。

・ショッピングモールにいる幸せそうな家族の姿
・SNSにアップされる、友人たちの子どもの成長記録
・親戚が嬉しそうに話す孫の話題
・何気ない「子どもはまだ?」
・ふと現れる、将来への不安

不妊治療中はこのようなことに傷付く日々でした。

 

あるときの気付き

でも、ある時をきっかけに、自分の治療に関する状況は何も変わっていないのに、「私はこれでいい」と心の底から思える時が増えていきました。

そんな時は、他の人と比較しても「あの人はあの人」と自然に受け止められました。
子どもを見てもそこまで辛くないし、妊娠報告に素直におめでとうも言えるようになった。

これはなぜだろう?とふと考えました。

自分らしい幸せの形を信じられるようになった」からでした。

 

ブログ仲間との出会い

私はこの不妊治療ブログと、SNS発信をはじめて、いろんな立場の人とつながることができました。
不妊治療中仲間が出来て支えあうことができたり、たくさんの方に漫画を見ていただくことができました。

その中でも私の価値観を大きく変えたのは、ブログ仲間たちだったと思います。
「ブログを運営する」という目的で集まった仲間たちは、それぞれいろんな環境にいて、いろんな悩みを持っていました

夫が転勤族で定職に就きづらい妻、世界一周を目指す学生カップル、子どもが苦手なお母さん、障害児育児中のお母さん、不倫された妻、うつ闘病中の女の子、イラストレーターを目指すサラリーマン、彼女が本当に彼女なのかよくわからない男性…まだまだ描き切れないほど、本当に色んな人と出会いました。

その人たちが、みんな自分たちの日常や考えたことを日々アップしているのを読みました。

私は色んな人と出会い、彼らの思考に触れ、会話した結果、心の底から「普通ってないんだ」と感じることができたんです。

 

「普通」という思い込みからの解放

あまりに個性豊かなブログ仲間たちを見て、私はいままで、狭い世界しか知らない自分の中で作られた「普通像」や、断片的に入る色んな人の幸せな姿をコラージュして、それと自分を比べていたのかもしれないと思いました。

ブログを始める前までの私は「子どもがいるから幸せというわけではない」と自分に言い聞かせつつも、(でもやっぱり子どもがいたほうが幸せなはずだ)と思っていました。
子どもがいる人生を幸せだと信じるからこそ治療をがんばっていたわけで、この思考はなにも不自然なことではありません。
でも、私のこの思考の根底には「それが普通」「それが幸せの条件」という幼い頃からの根深い思い込みもあったように思います。

私は、不妊治療をきっかけに休職したこの期間を、最大限に活かしてみようと思うようになりました。
小さな家の掃除と料理だけしておけばOK、あとは何しても良い。
当時33歳。大学を卒業してからこんな贅沢な期間、あったでしょうか?

そうして、私はパソコンで絵を描くための道具をそろえ、漫画を描き始め、SNSにアップし…ということをしていたらいつの間にか少しずつ仕事につながりはじめました。

はじめて私の作ったものに対してお金をもらった時、とてつもなく嬉しかったです。
それは単にお金を得られたからではなく、自分の選択した道に可能性を見出せたから。

私には、自分で自分を幸せにできる力があると思うことができました。

 

幸せの意味を考える

そして、今は亡き祖母にもらった、本のことを思い出しました。

相田みつをさんの「しあわせはいつもじぶんのこころがきめる」です。

それまではこの言葉の意味を、辛い時もポジティブ変換して、しんどくても「私は幸せ」と思い込むことが大事なのかな~なんて理解でした。
まぁ、その解釈も大きな誤りではないと思います。物事というのはいろんな側面からみられるもので、見方を変えると幸せに気付くこともあります。

でも「自分で自分を幸せにできる力があると思うことができた」あとの私は、

幸せは他人が決めてくれたり、与えてくれるものではなく、自分自身の心が主体となって判断するもの。幸せの定義は人それぞれ異なり、自分で見つけ出すもの。」という意味だと理解しました。

それから、自分にとって子どもとは、ともう一度考えた時、
子どもがいる人生にはきっと新たな幸せがある。でもいない人生でも私は必ず幸せに生きられる
と自分を信じることができました。

 

当時の私は治療3年目。何度採卵しても胚盤胞が出来ず、やっと移植できても陰性が何度も続いており、自分の決めた治療の期限も見えてきた頃で、子どもを授からない未来の可能性が高いと考え始めたころでした。

それからの私は、子どものいない人生を後悔なく楽しむための治療(諦めるための治療)にシフトしました。

時には、知り合いの妊娠報告に揺れたり、涙が出ることもありました。
でも、以前ほどその気持ちに引きずられることはなくなりました。

「私は自分で幸せになれるし、それは私の思う「普通」と違っていい」と、腹落ちしたんです。

この「腹落ち」を一度経験すると、たとえ落ち込んでも、また落ち着いた状態に戻りやすくなりました。
それは、自分の中に確かな土台ができたからなのでしょう。

治療が終わった今も、私は多分「普通」じゃない生き方をしています。
周りに同じように生きている人がいないので、ロールモデルがいません。
なので、たまに不安になったり、うまくいってる人と比べて不安になることもあります。
でも、日々私の幸せとはこの生き方だと思える道が少しずつ明確になっていってます。
なので、心が揺れてもすぐに戻ってこれるようになってきました。

 

不妊治療は自分にとっての幸せを考えるきっかけになりうる

不妊治療は確かに辛い経験です。
でも、だからこそ人生について深く考えるきっかけを与えてくれると思います。

穏やかな日常を過ごしていると、「自分にとっての幸せとは何か」を考えるような機会はなかなかありません。
私も、治療していなければ、きっと今もあまり好きではない仕事をしながら、あの人は私よりも、私なんか、と何かと比較しながら自分を卑下して、でも周囲に不満ばかり抱えて生きていたと思います。(私はずっとそんな感じでした)

今は人や物事に対する不満もかなり減りました。
「自分は自分」を腹落ちさせることは、同時に「人は人」もより実感できるんだと思います。
そして、以前よりもっと人間が愛おしく感じるようになりました。
気恥ずかしい話ですが、ふと「みんなが幸せでありますように」と願うこともあります。こんな気持ちを持てるようになるなんて、以前の私からは想像もできませんでした。

 

不妊治療は多くの場合20代から40代で行われます。
人生の比較的早い段階で、自分の人生について深く向き合えるということです。
人生80年、90年という長い道のりの中で、早い段階でこういったタイミングに出会うことは、悪い面ばかりではないのかもしれません。私は最近そう思うんです。

 

私の友人のさけさんは、私の倍の期間治療をして、今は夫婦二人の道を歩まれています。
彼女は「治療は自分にとって大切な経験だった」と話してくれます。「子どもがいなくても幸せだ」と。
この言葉に、深い腹落ちの本質を感じます。

 

最後に

今日の内容は、まだ私の中でも整理できていない部分がたくさんあります。

決して「頑張れば何かしら報われる」とか「必ず良い結果が待っている」ということではありません。
「今の苦しみは必ず後であなたの糧になる」というのを苦しみの渦中にいる人に言うのも違うかもなと、最近は思います。(何回か言ったことある、本当にごめんなさい。甘かった。)

でも、私が不妊治療という経験を通じて、「自分らしい幸せの形を信じられるようになった」ということは、確かだと感じています。
不妊治療は、自分を人生の主人公として、自分らしい幸せの形を見つけていくきっかけになりうる出来事だと、信じています。

これは私の個人的な経験・考えであり、答えは人それぞれ違うと思います。
苦しい経験から何かを学ぶべきとも思っていません。
それに、私の中でもまた考えが変わっていくこともあると思います。

自分の考えの整理とともに、不妊治療経験者にこういう人もいるんだなぁというひとつの事例のシェアとして、つたない言葉ではありますが記事にしてみました。

今日もぼちぼちいきましょうね◎

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